【現役食品開発者が解説】乳酸菌の健康効果とは?

健康食品

近頃、体に不調を抱えていませんか?

なんとなく身体がスッキリしない、化粧ノリが悪い、、なんてことはないですか。

「腸」の働きが落ちているかもしれません。そんな時には食品やサプリで乳酸菌を取り入れてみませんか?

乳酸菌は食事で摂れるの?どのくらいの量で効果が出る?乳酸菌の効果を最大限に活かすには?

これらの疑問に現役健康食品開発者がお答えします。

そもそも乳酸菌とは?

【乳酸菌】とは、どのようなものか知っていますか?

乳酸菌は、目に見えないほどの大きさでありながら、乳酸菌自身の生育に 必要なエネルギーを得るために、糖類を分解して乳酸を作り出す性質を持つ細菌の総称です。

乳製品に多く含まれているイメージを持つ人もいると思いますが、実は自然界に広く存在しており、人間や動物の腸内にすみつくことができます。

乳酸菌は、腸内細菌のバランスを整えるなど、人間の健康に有益な働きをするため、善玉菌と呼ばれます。乳酸菌の代表的なものにはビフィズス菌があり、細かく分類するとその種類は350~1000種類ほど存在すると考えられています。


乳酸菌が棲みつく腸は第二の脳

近年、腸を整える「腸活」が話題になり、腸を含む消化器官の重要性が広く知られるようになりました。腸は、「第二の脳」というキャッチコピーを持つほど、複雑で重要な器官です。

なぜ、腸は「第二の脳」と呼ばれるのでしょうか。その理由は、腸に体を守る免疫機関が集中しており、脳からの指示がなくても全身の免疫細胞に指示を出すことができるからです。

つまり、整った腸内から的確でよい指示が免疫細胞に伝われば、脳が指示を出さなくても免疫が高まっていくという仕組みです。体の不調は、腸内環境の悪さが原因ともいえます。腸はさらに、皮膚や髪などをきれいにする効果も担っています。これを医学的に「腸脳相関」、「腸脳皮膚相関」と呼び、研究者や食品開発者に今もっとも注目されているキーワードです。

乳酸菌は死菌のほうが効果的?

死菌とは

「死んだ」乳酸菌よりも「生きた」乳酸菌を摂取したほうが、効果が大きいと感じている人は多いのではないでしょうか?実は、そうとはいい切れません。

もし「生きた」乳酸菌を摂取したとしても、胃酸でほとんどの乳酸菌が死滅して「死菌」になってしまいます。

腸内環境の働きを高める

乳酸菌は死菌になると効果を失うわけではなく、死菌となった乳酸菌の方が腸内環境の改善に大きく貢献するといわれています。

腸内細菌への影響を与える

小腸では、免疫細胞が乳酸菌を栄養素として取り込むことで免疫機能を強化します。また、大腸では、乳酸菌が善玉菌を増やすためのエサとして働き、腸内環境の改善が可能です。

さらに乳酸菌を摂取することで、腸管免疫と腸内環境を向上し、ウイルスや細菌、その他の有害物質の吸収を防ぐことで、さまざまな感染症を防げます。

乳酸菌の効果として多くの人がイメージする便秘や下痢の改善は、死菌によって腸内環境が整い、大腸の動きがよくなることで実現します。また、便がスムーズに排出されることで有毒物質を排除でき、代謝もスムーズに行われます。

その結果、乳酸菌を摂取することで肥満を防ぎ、さらには血流の改善によって肌荒れや吹き出物の影響を抑えられます。悪玉菌の増殖を防ぎ、液性免疫(Th2)の暴走を抑えることで、花粉症などのアレルギー症状も予防、改善することが可能です。

また、腸内細菌は幸福感やポジティブな気持ちを作る「セロトニン」や「オキシトシン」「ドーパミン」などの合成にも関わっており、脳機能の低下やメンタルの不調などと大きな関係があります。 特に、セロトニンは体全体の90%が腸にあり、感情のコントロールに大きな影響を与えていそうな脳には、2%しかありません。このことから、腸が精神を安定させる役割も担っていることが分かるのではないでしょうか。

その他にも、乳酸菌は次のような病気の予防や改善をすることが分かっています。

  • 潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群
  • 歯周病、虫歯
  • 高血圧
  • 高血糖
  • 肥満
  • 高尿酸値
  • 脂質異常症

乳酸菌を摂取する方法

乳酸菌を摂取する代表的な方法として、ヨーグルトやチーズといった乳製品がすぐに思い浮かぶでしょう。実は乳製品以外にも、乳酸菌が含まれている食品があります。

例えば、しょうゆ、みそ、塩麹などの発酵調味料、納豆、ぬか漬けなどの漬物、塩辛といった発酵食品にも多くの乳酸菌と、乳酸菌を増やす成分が含まれています。

ぬか漬け1gには約1億個、白みそ1gには約1千個の乳酸菌が含まれています。

その他、韓国のキムチ、中国のザーサイ、ドイツのザワークラウト、欧米各地にあるピクルスなど、乳酸菌を使った発酵食品が世界各地であり、乳酸菌を手軽に食品から取り入れることができます。

発酵食品は独特の風味があるので、苦手な人もいるでしょう。そのような場合には、乳酸菌をサプリメントで摂取することも可能です。

現在様々な菌種の乳酸菌サプリメントが健康食品として各メーカーから発売されており、錠剤、ハードカプセル、顆粒など、多岐にわたります。健康食品は、薬ではないため、いつ摂取するべきなのかは指定がありません。手軽に摂取できるでしょう。

サプリメントには、以下のような商品があります。

  • プラズマ乳酸菌(キリン)
  • ロイテリ乳酸菌(オハヨーバイオテクノロジーズ)
  • ビフィズス菌・BB-12(富士フイルム)
  • からだにユーグレナGreenTablet乳酸菌(ユーグレナ)
  • ラブレカプセル(カゴメ)

他にも多くの乳酸菌サプリメントが発売されているため、飲み方、味、身体の調子などを試しながら選ぶことをおすすめします。

乳酸菌の効果を最大限に引き出すためのヒント

  • 死菌であること
  • プレバイオティクス成分と一緒に摂取すること

乳酸菌を摂取する際には、「死菌であること」が重要です。中には「生きて腸まで届く」ことを気にする人もいるかもしれませんが、生きている必要はありません。なぜなら、乳酸菌を摂り入れる目的は、善玉菌を住み着かせることではなく、腸内にいる善玉菌を活性化させることだからです。

また、乳酸菌の働きをサポートするプレバイオティクス成分である、食物繊維やオリゴ糖を一緒に摂ることも重要です。食物繊維やオリゴ糖の体内での働きには、腸内の善玉菌のエサになり、増殖を活発にさせ、腸内を善玉菌優位にさせることや腸に刺激を与え、排せつをスムーズにすることなどがあります。

参考:腸内細菌学会

プレバイオティクス(prebiotics)|用語集|腸内細菌学会
公益財団法人 腸内細菌学会 用語集 プレバイオティクス(prebiotics)

乳酸菌の選び方

  • 期待する効果
  • 乳酸菌の量
  • 製品の信頼性

乳酸菌は基本的に体をスッキリさせ、悪玉菌の増殖を抑える効果を持っていて、菌種の違いでそれぞれに得意分野があります。

期待する効果の目的によって、菌種を選ぶと、乳酸菌製品が選びやすくなります。もし、具体的に期待する効果がない場合には、腸に吸収されやすい乳酸菌を選んでみてください。吸収されやすいとは、乳酸菌のサイズが「小さいこと」、そしてかたまりにならないように「くっつかないこと」です。

乳酸菌は小さければ小さいほど、腸から吸収されやすくなります。吸収される乳酸菌の量が多ければ、健康効果は高まり、免疫力アップが期待できます。

また、乳酸菌の菌数はは多く摂ることで効果を感じやすいです。

ヨーグルトの場合には1日に約200gを目安に摂取するとよいでしょう。

そして、ヨーグルトにはたんぱく質をはじめ、脂質、ビタミン類、ミネラル類がバランスよく含まれています。

乳酸菌の働きによって、牛乳よりも更に消化・吸収されやすい形に変わっているので、牛乳を飲むよりヨーグルトとして食べたほうがたんぱく質をより効率的に吸収できます。

また、日本人に多く見られる乳糖不耐症は、乳糖を分解することが出来ず、牛乳を飲むと下痢を起こしやすい人のことを言いますが、ヨーグルトは乳酸菌によって作られた乳糖分解酵素はそのまま腸に到達し、乳糖を分解することが出来るので、下痢が起こりにくいでしょう。

しかしヨーグルトの中に砂糖や添加物の入っていると、血糖値やコレステロール値を上げてしまう恐れがあるので、無糖無脂肪ヨーグルトをおススメします。 サプリメントの場合は手軽に菌数が確保できますで、こちらもおススメです。サプリメントは、成分表示が信頼できるものか、必ずチェックする必要があります。公的な第三者機関の認証(GMP認証)があれば安心です。

乳酸菌の効果を実感するため

乳酸菌で体質改善を図るならヨーグルトを毎日食べ続けることです。まずは、2週間、継続して食べ続けてください。

2週間継続して食べる理由は、腸内環境が変わるまでには時間がかかるからと、自分に合った菌種かどうかを判断する必要があるからです。

効果が感じられたら食べ続けるようにし、あまり効果が感じられなければ他のヨーグルトを試してみるという繰り返しで、自分に合うヨーグルト、菌種を探してみましょう。

乳酸菌の効果に関する最新の研究

最新の研究によると乳酸菌の効果は、もたらす腸内環境改善にとどまらず、免疫強化、肥満予防、認知機能低下抑制など様々な機能がわかってきました。

近年では、乳酸菌が作り出す生産物質についても研究が進んでいます。

乳酸菌生産物質は、現在確認されているだけでも500種類以上の成分があり、がん細胞に対して抑制作用があるポリフェノールや短鎖脂肪酸などです。

しかし、これは500種類以上ある中のごく一部で、様々な物質が相互作用することで効果が出ると考えられています。

さらに今後の研究が進むことで、新しい物質や機能が発見される可能性を秘めています。

注意点と副作用

乳酸菌を取り過ぎてしまうと、お腹が張ったり、便が柔らかくなったりと調子を崩す方もいます。気になる方は、摂取を控えて様子を見ることをおすすめします。

乳酸菌を含む食品をたくさん食べて乳酸菌を取り込もうと考えている場合、注意が必要です。

ヨーグルト以外の食品であれば、みそやしょうゆをたくさん摂ると、塩分までたくさん摂ることになります。その他、日本酒であればアルコールの過剰摂取になり、肝臓を害してしまうかもしれません。

このように、食品から乳酸菌を摂取しようとする場合には、適量を心がけることも大切です。乳酸菌を含む食品だけではなく、ほかの食品を合わせながらバランスの良い食生活を目指しましょう。

まとめ

乳酸菌は、健康に有益な役割を果たす微生物であり、腸内環境を整えることから免疫機能の向上、代謝の促進、心身の健康まで多くの効果をもたらします。

腸内環境の整備によって体内の免疫機能が高まり、感染症やアレルギーなどのリスク軽減が期待されます。

また、腸内細菌の生産物質は、がん細胞の抑制や健康維持に貢献する可能性もあります。

乳酸菌を取り入れる際には、生きた乳酸菌だけでなく、死菌であっても健康効果をもらたす事が分かっています。

食物繊維やオリゴ糖などを同時に摂ることで、乳酸菌の働きをサポートし、腸内環境の改善を促進します。

また、乳酸菌製品の選び方やサプリメントの利用に際しては、成分表示を確認することも大切です。

乳酸菌を日常生活に取り入れる方法として、ヨーグルトや発酵食品、サプリメントなどがあります。

自身の体質や健康目標に合わせて選び、効果を実感するためには継続的な摂取が大切です。

ただし、適切な摂取量や注意点に気を付けること忘れないでくださいね。

乳酸菌の効果を最大限に引き出し、乳酸菌の恩恵を享受しながら、より健康的な生活を送りましょう。

参考文献

中村仁.新しい乳酸菌の教科書.2020.

後藤利夫.乳酸菌がすべてを解決する.2017.

栄養書庫発刊.乳酸菌生産物質の秘密.2022.

光岡知足.老化は腸で止められた.2014

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